育毛を考える前にまず脱毛からの定義を考えよう。脱毛症とは、本人
が生えることを期待していた毛髪(主に過去に生えていた箇所の毛)が
生えなくなった状態のことである。そこから育毛という概念が生まれて
くるわけであるが、生理学的には、ヒトの頭髪の形状は年齢や個々人
の個性により多様であり、こうあらねばならないという正解があるわけ
ではない。故に脱毛症は、育毛とは違い本人の期待の上にだけ成立
する抽象的な概念であるという側面があることを育毛の前に念頭にお
いて欲しい。
そこでいかに毛髪を増やしていくかということである。それで育毛という
方法が考えられてきた。
まず脱毛症への対処として。
脱毛症、特に男性型脱毛症は病気ではないため、育毛などで対処す
るか否かは本人の嗜好次第である。もし脱毛症が悩みとなり、精神的
な問題などをおこす可能性がある場合には、育毛などあらゆる方法で
対処するのも一つの選択肢ではある。
育毛以外の器具による対処方法として考えられるのは
1、かつら(鬘)
かつらは、人工毛または人毛によりヘアスタイルを作って、頭部に装着
するものである。育毛よりは簡単に脱毛症の見た目の改善には絶大な
威力を発揮し、全禿げの場合は唯一の対処手段であるが、次のような
問題がある。
・育毛と違いメンテナンスに多大な費用がかかる
・かつらは磨耗するものである。 磨耗が進むと、残っている髪
の毛と整合が取れなくなるため、作り直す必要がある。その
ため、育毛と違いかつらの寿命は2年間と言われている。
・かつら自体が育毛と違い悩みになる 。
・かつらにより見た目は改善されるが、かつらをしていることが
発覚するのではないかという精神的な悩みを抱え込むことに
なる。
2、増毛
増毛とは、残っている毛髪に人工毛を接着して、見た目の毛量を増やす
施術のことである。当然ながら、育毛ではないので接着した毛髪が伸び
れば人工毛を付け直さなければならないし、接着した毛髪が抜けてしま
えば人工毛も抜けてしまうので、常にメンテナンスが必要になる。育毛と
は意味合いが違う。
3、 育毛剤
様々な育毛剤が市販されているが、科学的な臨床実験によりに発毛作
用が確認されている薬品は以下の2種類のみである。
・ミノキシジル(商品名ロゲイン、リアップ)
育毛のため頭皮にふりかける外用薬である。もともとは高血圧の治療薬
として開発された薬で、血管拡張作用によって発毛を促すといわれてい
るが、育毛のメカニズムには不明な点が多い。頭髪だけでなく、全身の
毛を増やす作用がある。
・フィナステリド(商品名プロペシア)
内服薬である。頭皮における男性ホルモンの作用を抑制し、脱毛を防止
するとともに発毛、いわゆる育毛を促す。
日本でも、万有製薬が厚生労働省の承認を受け、自由診療(保険外診
療)として医師の処方箋に基づいて使用できるようになった。
しかしこれらの薬品も効果があるかどうかは体質次第であり、人によって
は育毛とは逆に一層脱毛が進むこともある。また効果があったとしても使
用を続けなければ元に戻ってしまうため、脱毛の解決手段とは言い難い。
育毛と一口で言っても様々な方法がある。